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【富山恐るべし。】
タイトルのフレーズは、とある鹿児島の有名焼酎蔵元と富山を訪ねた時の共通見解です。この焼酎の蔵元も世界中・日本中で色んな「すごいもの」を見ているはずの人ですが「単なる観光地とは全く違う、そして、こんな『おもてなし』は、他では受けられない」と仰るのです。
昔も今も、日本の地方（田舎？僕も地方出身なのでご容赦を）のお国自慢は「見栄の張り合い」的な要素が強くて、そんなに驚くこともない話も多々あるのですが、どれも本物の「すごさ」を感じさせてくれました。
例えば、富山駅北口から徒歩5分のところにとある迎賓館があります。1000坪の土地に400坪の古民家を再生し、快適にリニューアルされた部屋はそれぞれにテーマが違うのですが、どれもが一流品に囲まれます。
ライトアップされた素晴らしい日本庭園を見ながら、長いカウンターにすわりストックされたお酒を頂く時間は、ありきたりな言葉ですが「至福」。
持ち主が「このまま維持してくれるなら」という条件で、地元で「雅楽倶」という旅館の経営者に譲られたのですが、なぜ「迎賓館」なのかというと････、
当初は一般の宿泊施設として営業する予定で買ったのに消防法に従うと、非常口表示灯や消火器を置かないといけない。となると、美的に宜しくない。ということから、旅館の営業免許を取らず、なので、一般営業することも無く、知り合いの紹介だけ泊めて、旅館じゃないので宿泊費は取らない・・・。というものなのです。
なお、一般営業している雅楽倶も本当に素晴らしい宿です。http://www.garaku.co.jp/
ここの新館は8室全部140ｍ^２か100ｍ^２のスイートで、全ての部屋の内装・趣向が違い、アートに囲まれた静かな空間が広がる宿。ここだけでも是非モノです。
スイートは3室に分かれて6から8人ぐらいで泊まれますから、かなりリーズナブルです。
食について、富山湾は沖合すぐに水深1000メートルに落ち込んでいる日本有数の深い湾でそのお陰で色々な種類の食材が揃います。
深度300メートル以下のところからは、日本海の海洋深層水で冷たいところに棲む魚が、深度300メートル以上の浅いところは、対馬暖流の流入で暖かいところの魚類も手に入ります。
キトキトの魚やほたるいか、シロエビはいうまでもないですが、北海道でしか取れない毛ガニなども並ぶことがあります。
また意外に知られていないのが「昆布の人口あたり消費量NO.1」は富山。昆布〆などのさりげなく細かな仕事をした寿司やいい出汁に出会えます。
山に目を転じれば飛騨牛の殆どは岐阜県境の神岡で肥育されており、その界隈の猟師からは熊、猪などもシーズンには新鮮なものが入手できます。
そんな山と海のもの、両方が堪能できるのは、魚津駅前の「ねんじり亭」。職人はだのご主人の口福にあずかったら、お嬢さんの手作りのデザートも忘れずに。

アートに囲まれた静かな空間が広がる宿、リバーリトリート雅樂倶

コラム作者：プロフィール

入江啓祐（いりえ　けいすけ） 　1991年日本航空入社 　国内線・国際線の本社部門通算で10年間、全社キャンペーン・ 　プロモーション企画を担当。 　日本酒を通じて世界に日本文化を紹介する「JAL Sake Project」で 　全国350社を超える酒造会社や関係省庁とのタイアップ企画を実現。 　1999年から3年間はミラノ支店に勤務。 　2007年イタリア駐在時代の縁から株式会社Spazio Incontroに入社。 　日本と海外を繋ぐビジネスと国際物流コンサルティングを 　行いつつ、銀座にて会員制日本酒サロンを運営中。    http://nuit-ginza.jp