レビューコーナー
酒国漫遊記(Part 13)
2010/01/13 PART 01 | 02| 03| 04| 05| 06| 07| 08| 09| 10| 11| 12| 13| 14| 15| 16| 17| 18| 19| 20| 21| 22| 23| 24| 25| 26| 27| 28
【長期熟成酒の愉しみ】
「日本酒は造られた年に飲まないといけない。」という認識をお持ちの方、結構いらっしゃいます。
勿論、火入れ殺菌をしていない生酒を筆頭に、早めに飲んでいただくに越したことがない種類は多々あるのも事実です。その一方で、日本酒には「古酒」「長期熟成酒」があり、その評価は年を追うごとに上昇しています。鎌倉時代から記録に残っており、江戸時代までは貴重なお酒として珍重されていましたが、明治から昭和の戦争中の間、厳しい酒税の取立て=蔵元は造った量に応じて課税をされ、貯蔵すると税金分のコストが増すので「造ったら直ぐに売らないと」という風潮になり、古酒は次第に消えていってしまったそうです。戦後に酒税制度が改正され蔵出し税=出荷された量に応じて課税されるので貯蔵中は税金がかからなくなって、日本酒の古酒は少しずつ復活してきました。
2009年のIWC(インターナショナルワインチャレンジ)でチャンピオンに選ばれたのは、金紋秋田酒造の「熟成古酒 山吹1995」。出品酒全てのカテゴリーの中で、長期熟成酒が選ばれたのは初めてのことです。
金色、褐色、琥珀、赤色系まで長期熟成のお酒は、それぞれの銘柄に独特の色合いをしています。お酒の中の自然なアミノ酸と、お米由来の糖分が長い時間かけて作り出す自然な色です。また味のバリエーションも驚くほど豊富。甘み、酸味、旨み・・・時を重ねることで、それぞれの蔵の特徴が際立ち、フードマッチングの幅もあり、一般的にシェリーや紹興酒がマッチする料理との相性がいいと言われています。多少癖のあるチーズ、中華料理、油っこい料理にもとてもよく合います。個人的にはチョコレートとあわせて食後に楽しむのがオススメです。
長期熟成酒の入門編としてお薦めは岐阜市にある達磨正宗。さきがけとして、いち早く長期熟成の復興に取り組まれた蔵元の一つです。「達磨正宗十年古酒」は長らくJALのファーストクラスの食後酒として搭載されていた日本の誇るディジェスティブ。
十年以上熟成した5種類の古酒をブレンドして造られた深く完成した味わいは、皆さんの日本酒への印象を大きく変える逸品だと思います。1975年からのヴィンテージも取り揃えられていますので、記念年のお酒を探している場合は是非検討してみてください。
また幅広い長期熟成酒のなかからお気に入りを見つけたい方には、常時100種類以上の古酒を楽しめる品川・ウイング高輪にある「酒茶論」。トゥールダルジャンのシェフバーマンでいらした熟(塾)長の上野さんのお話。とっても勉強になります。
金紋秋田酒造 ホームページ
http://kinmon-kosyu.com/
白木恒助商店(達磨正宗)ホームページ
http://www.daruma-masamune.co.jp/
酒茶論ホームページ
http://www.koshunavi.com/
コラム作者:プロフィール
入江啓祐(いりえ けいすけ) 2007年イタリア駐在時代の縁から株式会社Spazio Incontroに入社。 |
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