メインメニュー
HOMEレビューコーナー酒国漫遊記

レビューコーナー


酒国漫遊記(Part 16)

2010/01/29 PART 01 | 02| 03| 04| 05| 06| 07| 08| 09| 10| 11| 12| 13| 14| 15| 16| 17| 18| 19| 20| 21| 22| 23| 24| 25| 26| 27| 28

【天皇陛下のお酒】
宮内庁御用達という制度は1954年に廃止されています。ので、現在に残るのは主に戦前に御用達の栄を取得した老舗が宮内庁黙認で掲げているというのはご存知でしょうか。
とはいえ、今でも当然宮内庁・天皇家に納品される商品、食材、納入業者は存在するわけで、日本酒も例外ではありません。
私が記すのも畏れ多いのですが、現在日本酒は四つの銘柄がその任にあるそうです。皇室献上品との違いは、「しっかり代金を貰って」納めているということ。そのうち2つは納入業者を介し、2社は直接納品をされているとのこと。直接納品の2社とは「櫻正宗」と「菊正宗」。どちらも灘の蔵元です。
蔵元には菊花紋章が入った専用のラベルが宮内庁から送られてきて、それを貼って納品するとのこと。当然ながらラベルと同数を納品するのが絶対なので、市中に出回ることはありません。「櫻正宗」はこのほかにも様々な由緒を持った蔵です。
例えば「灘の宮水」というのは酒造りの中でも名水中の名水とされますが、蔵のある西宮の井戸でこれを発見したと言われています。鉄分を含まず、酒造りに必要な塩分と硬度を持ち、リンやカリウムを多量に含有していることで、酒造原料としては世界に比類のない水です。
また、明治時代に細菌研究と培養技術が進んだ結果、優れた「酵母」を日本醸造協会が全国に頒布するようになった際、その「第一号」として選ばれたのがこの蔵の酵母です。(協会一号酵母と呼ばれます)
「正宗」というのは現在でも多くの銘柄が名乗っていますが、最も先につけたのもこの蔵だったり、お酒の造りとは関係ありませんが、建築家フランク・ロイド・ライトが日本国内で個人のために設計した唯一の邸宅が旧山邑家住宅(別邸)。現在はヨドコウ迎賓館として一般公開されていますが、この蔵の先々代の当主が発注したものです。
現在では非常に飲みやすい大吟醸「櫻華一輪」や「金稀」といった主力銘柄の他、神戸ビーフに合うお酒や女性に向けの低アルコール酒「さくら」、清酒と同じ製法で造られながらアルコール度数が25度もある「のんたろう」などユニークなお酒も揃えられた面白い蔵です。

櫻正宗ホームページ
http://www.sakuramasamune.co.jp/

photo
櫻正宗の主力銘柄、非常に飲みやすい大吟醸「櫻華一輪」

 



コラム作者:プロフィール

 入江啓祐(いりえ けいすけ)
 1991年日本航空入社
 国内線・国際線の本社部門通算で10年間、全社キャンペーン・
 プロモーション企画を担当。
 日本酒を通じて世界に日本文化を紹介する「JAL Sake Project」で
 全国350社を超える酒造会社や関係省庁とのタイアップ企画を実現。
 1999年から3年間はミラノ支店に勤務。

 2007年イタリア駐在時代の縁から株式会社Spazio Incontroに入社。
 日本と海外を繋ぐビジネスと国際物流コンサルティングを
 行いつつ、銀座にて会員制日本酒サロンを運営中。
   http://nuit-ginza.jp




ワイン 百一話

絵画に見るワイン 4 

ルノワール(1841-1919) フランス印象派の運動に参加した画家です。豊かで明るい色調で人物描写を得意としました。代表作には『ムーラン・ド・ラ・ギャ...


現役ソムリエのコラム

ソムリエのフランス研修日記 Part2

ソムリエのフランス研修日記 Part2

レストラン サンドランスへ   2008年 6月某日。  パリ・マドレーヌ教会のすぐそばに位置するミシュラン二ツ星のレストラン「サンドラ...


レビューコーナー

酒国漫遊記

酒国漫遊記

【江戸時代の日本酒ヌーボー】江戸時代日本酒を扱う問屋が多く集まった町、初期は平河町や新宿だったといわれています。しかし、中期以降は埋め立てが...