レビューコーナー
酒国漫遊記(Part 22)
2010/04/17 PART 01 | 02| 03| 04| 05| 06| 07| 08| 09| 10| 11| 12| 13| 14| 15| 16| 17| 18| 19| 20| 21| 22| 23| 24| 25| 26| 27| 28
【国賓のお酒・梵】
以前磨きの業のコラムで書いたのですが8%、11%磨きを実現しているのが、福井県鯖江市にある加藤吉平商店。11代目当主が追求する酒への情熱、造りを極めるためのアイデアはどれも理にかなっていますがコストを考えたらちょっと二の足を踏みそうなものも。でも「感動の酒を造るため」の姿勢には本当に聞いているだけで「感動」を覚えます。
例えば発酵に大切なタンク内の対流がより自然に行われるようにと、下部がV字型をしたほかの蔵では決して見られない特注の醸造タンク。また特許を取得している洗米機。「きれいに洗う」「米に傷をつけない」「限定給水」をすべてこの洗米機で出来ます。米袋も精米歩合や、銘柄によって変えるという徹底ぶり。この他に蔵の中が常に清潔に保たれる設計や、蔵人の働きやすさなどにも当主の配慮が届いています。勿論これだけ極めたお酒自体も秀逸で、国内だけでなく海外で広く評価を受けています。
創業は万延元年(1860)。昭和のはじめには昭和天皇御大典の儀の地方選酒となったそうで、戦前まで最高級酒だけに付けていた「梵」が現在の商標登録となっています。昭和43年には大吟醸酒を、46年には 長期熟成酒を日本で初めて売り出した蔵としても有名です。特に在外日本公館で供される「日本の翼」は、クリントン前米国大統領訪日の際の晩餐会で用いられた「梵・吟の翼」を改名したもの。平成12年にロンドンで開催された 国際酒祭りで総合第1位グランプリとなり世界中に日本の酒文化の素晴らしさが発信されたのを記念して商標変更がなされました。JAL国際線でも東京=ニューヨークのファーストクラス限定で供されています。「夢の酒」を造るという蔵元の意思は、数々のユニークで美しいボトルデザインにも。氷山や地球をイメージしたボトルも一見の価値ありです。
美味い感動の日本酒「梵」 加藤吉平商店 http://www.born.co.jp/
コラム作者:プロフィール
入江啓祐(いりえ けいすけ) 2007年イタリア駐在時代の縁から株式会社Spazio Incontroに入社。 |
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