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酒国漫遊記(Part 27)
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【日本酒造りと水】
日本全国に造り酒屋があり、地域の生活に根ざしたお酒が醸されています。
物流が今のように発展していなかった時代から親しまれてきたものなので、地元に根ざした風土や
生活習慣や文化、とりわけ味覚・料理に密接にかかわりながら育まれ、特徴づけられて今に至っています。
例えば淡麗口と言われる新潟のお酒は塩味にマッチするように、京都のお酒は京料理の「だし」文化に合うような柔らかいタイプのお酒。東京なら醤油味に・・・という具合に地元の人の味覚が反映していると言えます。
それと同時に、水もお酒の味と好みを決める大きな要素。
小さな頃から飲みなれている水が煮炊きの味にも反映されていますし、「水が合う」ことは、お酒を飲んだときの心地よさや好みに影響を及ぼすことが容易に想像できますね。
また水はお酒の品質にとっても重要な要素です。
日本酒造りに適した水は、酵母の繁殖を促し、乳酸発酵を調整するミネラル分が豊富なものと言われています。他方で、鉄やマンガンなどの重金属は嫌われます。特に鉄分はお酒の酸化を進めてしまい、着色や味わいを損なわせるもととなるからです。
多様な地質・地層を持つ日本ですが、花崗岩や石灰岩の層を通った、ミネラル分の多い硬水で作られる酒は、重くコクのある味わいになります。逆に、玄武岩や土の層を通ってきた水に多い軟水は、軽くスッキリした味わいになります。
硬度についてはドイツ硬度、アメリカ硬度などがあり、分類もWHO(世界保健機関)と日本の水質基準で呼び方が違ったりしますので厳密ではありませんが、日本酒造りにはミネラル分を含むやや硬水に近い、中硬水が最も適しているといわれています。日本酒の2大生産地、灘の宮水がやや硬水に近い中硬水、伏見の水が中硬水です。
良いお酒づくりには、深い井戸から採取する水、山からの湧水、川の伏流水と地域地形や自然環境によって違いはあれど、蔵が代々親しみ、拘った名水が多く使われていることは間違いありません。
コラム作者:プロフィール
入江啓祐(いりえ けいすけ) 2007年イタリア駐在時代の縁から株式会社Spazio Incontroに入社。 |
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