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ワイン 百一話


シャトー・コス・デストゥルネル(Part 1)

2010/03/24 PART 01 | 02| 03

ボルドーにあるシャトーと名前の付くワイナリーは、軽く数百を超えます。そのシャトー(館)の見栄えも実にさまざまです。とはいえ、まるでタイとかインドの離宮というかパゴダのような形をした、シャトー・コス・デストゥルネルの外観は、他に類をみない特別な形です。ここがワイナリーと知らなければ、写真を一枚撮って、黙って行くのはいささか気が引けるので、手を合わせて一礼して失礼したに違いありません。少し離れてみると、まるでアンコール・ワットなのですから。

アッ、ラベルの絵と同じだ・・・。はじめてみたときの感想でした。
  photo
シャトー・コス・デストゥルネル の外観は、本当にラベルに描かれたものと同じでした。


この、実に変わった建物の最も外の部分、道路に面した部分には、石のアーチがあり、その上には盾を持つライオンと一角獣の彫刻が飾られています。アーチの後ろ、すなわち前庭には石が敷き詰められています。
そして、その後ろがいよいよ写真の通りの本丸です。思い切りアジア的ですね。本丸の正面中央に見える、少し赤茶色の扉は、確かザンジバール島のサルタンからの贈り物です。
なにやら雲行きが怪しくなってきました。フランス語でオラージュと呼ばれる、嵐の兆しが見えます。空は暗くなり、遠くで雷鳴が鳴っています。早く建物の中に入らねば。
正面玄関といいますか、アーチには呼び鈴が付いていません。シャトーに向かって右側には、畑しか見えませんでしたので、入り口は左側に違いありません。とことこと歩いて回り込みました。これまで、いろいろなシャトーを訪問しましたが、ここほど建物群に近づくのが難しいシャトーも珍しいものです。
呼び鈴を押して、監視カメラににっこりと微笑みかけて、入れてもらいました。
通常のタイミングならば、時期的には収穫の真っ最中のはずなのですが、中庭にも醸造所の外にも誰もいません。
このシャトーでも、十九世紀以来のビッグ・ヴィンテージであったのに違いありません。すべてが無事に済んだことを物語る、静けさです。
 矢印に従って受付を見つけました。入ると、ほっそりした美人がにこやかに迎えてくれました。ほっとしました。本当に、誰もいないのではないのか、と思える静けさなのですから。
ムッシュ・プラッツは国際電話がかかっているとかで、しばらく彼女が案内してくれることになりました。聞くと、ちょうど昨日、収穫から引き続き行われた発酵に関するすべての作業が終了したので、今日からお休みなのですとのことでした。 
それは、せっかくのお休みの申し訳ありません。いえいえ、おいでになるのを楽しみにお待ちしていました。云々と・・・・どこの国でも基本的な会話の流れは同じです。
醸造所の中は、農耕器具も、醸造用の器具もすべてがすでにきれいに片付けられていました。



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