ワイン 百一話
オペラとワイン(Part 7)
2010/09/23 PART 01 | 02| 03| 04| 05| 06| 07| 08| 09| 10
ワルツの父、オーストリアのヨハン・シュトラウスが1873年頃に作曲した「こうもり」は、軽いノリのオペレッタ。金持ちのアイゼンシュタインの悪ふざけで、「こうもり博士」のあだ名をもらってしまったファルケ博士が、舞踏会でウィットに富んだ復讐をする、という話です。
第一幕に『お飲みなさい、かわいい子Trinke, Liebchen, trinke schnellトリンケ、リープフェン、トリンケ、シュネル』と名付けられた場面があります。時代背景は当時で大晦日です。ところはオーストリアの温泉町イルシュで行われる、仮装舞踏会が舞台設定となっています。
浮気者のアイゼンシュタインは、役人侮辱の罪で留置されることになります。いよいよ留置されると決められた日に、それではこれらか留置所に行くからと家を後にします。実は、留置所にゆくとは真っ赤な嘘で、奥さんのロザリンデをほっておいて仮装舞踏会に行くのです。それも、留置所の所長と一緒に遊びに行ってしまうところが、オペレッタなのです。
アイゼンシュタイが外出すると、ちょうど入れ替わりに、それを見計らっていたロザリンデの昔の恋人、声楽教師のアルフレードが家の中にスルスルと入ってきます。確実犯ですね。アルフレードは、ちゃっかりアイゼンシュタインのナイト・ガウンを着て食卓についてしまいます。まるで亭主気取りなのです。
なんと、アルフレードはアイゼンシュタインの秘蔵の酒を、地下の酒蔵から勝手に持ってきました。「だめよ、だめよ」と言いながらもまんざらでもない、ロザリンデ。
久々に浮気のチャンスと二人で一杯飲む場面。ここで飲んだものはどうやらシャンパーニュでした。
ところで、歌の題名ですがドイツ語の『…・トリンケ、シュネル』とは、『…・早く飲みなさい』という意味です。さっさとシャンパンを飲んでしまいなさい、その後にすることがあるでしょう、とせかしているのでしょうか。