ワイン 百一話
ギリシア神話 1(Part 1)
2010/12/23 PART 01 | 02| 03| 04| 05
ギリシア神話が成立したのは、ミケーネ時代(紀元前1500年)です。
その後、紀元前800年頃に、かの有名な詩人ホメロスの叙事詩「イリアス」と「オデュッセイア」の出現によって神話は完成し、脈々と今日まで継承されました。
エジプトに始まり、メソポタミア、インドで栄えたさまざまな文明が、この神話の中であちこちに影響を与えています。ジュピターが起こした大洪水は、メソポタミアの「ギルガメシュ物語」の洪水によく似ていますし、ジュピターの息子、ハーキュリーズ(ヘラクレス)の原型がインドやゲルマンの神話にあったりします。
出だしが聖書と少し違います。聖書では、「まず神ありき」でした。しかし、ギリシア神話では、まず「果てしない暗黒と混沌があり」、そこから神が出てきます。
■バッカス
ギリシア神話にここに出てくるお酒の神様は、ご存知バッカスです。
バッカスはギリシア的な名前であり、ローマのリーベル、エジプトのシーリスと同一です。これが、フランスではバキュスと短く発音され、ドイツに行くとバフースと長くなります。バフースという名称はドイツではぶどう品種にも付けられていまして、ソムリエの認定試験のときに出てくるくらいに有名なのですが、私はそれがバッカスと同じことだとは、長い間知りませんでした。
この本名(?)ディオニューソス・バッカスは『豊穣、酒と狂乱の神』です。豊穣と酒は大層結構ですが、それに狂乱がついてくると、お参りする方は少し腰が引けてしまいます。別の解釈では、『酒と陶酔・解放の神』とも言われています。いずれにせよ、少しアブナイところもありそうですね。
さて、バッカスはお酒の神様なのですが、バッカスに関わるお酒は、ワインと相場が決まっています。ですからワイナリーの建物の装飾や石像、あるいはボトルに張られたラベルの絵にもバッカスは現れます。