ワイン 百一話
シャトー・ブラネール (Part 3)
オランジュリーでは、寒い地方の貴族・豪族が、オレンジの鉢植えを冬の間は温室の中で育て、夏には屋外に出すのだと知りました。広い敷地の中に温室を持ち、しかもスペインからオレンジを取り寄せる、それができる財力とセンスの持ち主であることが、しかるべきステイタスの人たちの間で流行していた、そんな時代の名残なのでした。
ここで、私は笑いながら、これが文化であることとそれについて話ができる人たちの知的水準の高さを、褒めます。もちろん、ただ褒めたのではなんの面白みもありません。 |
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オランジュリーの意味を始めて実感した、温室を兼ねた談話室でした。 |
そこで、オランジュリーのことを「カルチャーやなぁー」といい、それを説明してくれたオーナーに「あんた、インテリやねぇー」とフランス語で混ぜ返すのです。このような会話のやり取りを、文字で表現しますと、まことに失礼なことを言っているように受け取られるかもしれません。ですが、このような会話が元で相手が不愉快になったことは、少なくとも私が理解している範囲では、一度もありません。要は、TPОなのです
なだらかな丘の中腹を、スパッと切り開いた形で工場がありました。この建て方ですと、畑から運んできたぶどうは、一階の高さから地下一階に設置された発酵槽に落とし込めます。できたワインは地下一階ですが、丘の麓からみるとそれも一階から外に運び出せます。
醸造所は、チリひとつ落ちていないきれいな工場でした。磨き上げたステンレス製の発酵槽がずらりと並び、コンピューターによる完璧な温度管理がなされていました。
なにごとも経験と、発酵中の炭酸ガスが含まれているぴりぴり感あるワインのテイスティングをされてもらってから、1999、2000、2002年と垂直試飲を楽しみました。
シャトー・データーです。シャトーの総面積は50ha。平均樹齢は45年。ブレンド比率にほぼ準ずる栽培面積比は、カベルネ・ソーヴィニヨン70%、メルロー22%、カベルネ・フラン5%、プティ・ヴェルド3%。発酵槽はステンレス・タンク。発酵温度は発酵終了時28〜30℃。発酵期間は5〜8日。かもしは2〜3週間。マロラクティック発酵期間は15日〜2ヶ月。樽熟成期間は18〜24ヶ月。新樽使用率は50%。濾過は行わない。年間総生産量は平均16万本。セカンド・ワインは、赤ワインのシャトー・デュリュック。
「ワイン 百一話」を終えるにあたり。
昨年10月19日に開始したシリーズでしたが、一日も休むことなく101回(+おまけの6回)になりました。つきましては、本日の掲載をもって、しばらくお休みさせていただきます。
レコール・デ・ヴァンのHP上でもご紹介させて頂いておりますが、私は「ソムリエになるための基礎知識」を2010年3月10日に上梓しました。その序文にございますように、4月1日(木)から、 http://umeday.at.webry.info/ ブログで【追加資料、参考写真、過去問題と解答、模擬試験など】を掲載します。ソムリエ協会の認定試験を受験する方はもちろんですが、受験しない方にも役に立つ記事を準備しています。ぜひ、ご覧下さい。
梅田悦生