ワイン 百一話
シャトー・ポンテ・カネ(Part 1)
テレビの天気予報では、午後から夕方にかけて、ところによって嵐になるとかです。もし、まだ収穫が完了していないワイナリーがあるとすると、それは大変です。ボルドーについてからずっと快晴続きでしたが、予報どおりに、昼過ぎごろから少し雲行きがあやしくなってきました。
今から訪問するシャトー・ポンテ・カネは、メドック最大の生産量と、シャトー・ムートン・ロートシルトのすぐ隣という、絶好の地の利を有する生産者です。 |
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みどりに囲まれたシャトーの入り口は、まるで公園に来たのかと思えるくらいに素敵です |
ポンテ・カネの名前は十八世紀に、メドックの領主ポンテが、カネと呼ばれていたよい畑に自分の名前を付け足したことに始まるといわれています。1855にメドック5級に列せられたシャトーは、その10年後の1865年にボルドーの大手ワイン商であるクルーズの傘下に入ります。
その後のポンテ・カネの歴史を紐解いていますと、ひとつ驚くことに出くわしました。なんと、1961年物のポンテ・カネはイギリスで瓶詰めされています。当時から、ほとんどの高級ワインが、それを造ったシャトーの中で瓶詰めされてきたこと[いわゆるmise en bouteille au château=シャトー内で瓶詰めした]を考慮すると、いかに40年前のこととはいえ、シャトーから離れたイギリスで瓶詰していたなどとは、もう大変な驚きです。
ただし、法律違反ではありません。しかし、クルーズはほかにも問題を抱えたらしく、このシャトーを手放すことを命じられます。
そのような経過をへて、1975年にシャトーはコニャック商ギー・テスロンの手に渡り、息子のアルフレッド・テスロンがその管理を一手に引き受けて、今日に至ります。メドックの等級格付けでは5級に属しますが、実質的には3級に格上げされるべきだという人もいるくらいに、高品質のものを産出しています。