ワイン 百一話
シャトー・カノン・ラ・ガフリエール(Part 1)
良いお天気なので歩いて行こうと決めて、写真を撮りながらぶらぶらと出かけました。
タクシーだと、あっという間に着いてしまいますので、便利ではありますが情緒にかけます。 |
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ネイペルグ伯爵その人。著者の質問に丁寧に答えてくれました。口ひげがとてもよく似合っています。 |
サン・テミリオンの古い街並みや広々としたぶどう畑を鑑賞しながら、行き交う人にもボンジュールと声をかけて、ゆったりとしてとても優雅な気分でした。と、ここまではよかったのです。
シャトーの入り口まで来て、真っ青です。シャトー・カノンに来てしまいました。今日の訪問予定先は、シャトー・カノン・ラ・ガフリエールでしたが、なんと、カノンと付くシャトーは、サン・テミリオンに二つあったのです!
基本中の基本ですから、カノンと付くシャトーが二つあることは、知識としては十分に知っています。しかも、地図もコピーして持っていたのです。ただ以前サン・テミリオンを散策したときに、この道を少しいったところにカノンとつくシャトーがあった、そういう思い込みが、間違いのもとでした。地図を一目見れば、どの道を歩くべきかは、すぐに分ることなのです。
全く別のシャトーの門の前まで、来てしまったのです。ドジなことです。ベルを鳴らさなかっただけでも幸いでした。もうもう、何をしていることやら。
大慌てでホテルに走って戻り、タクシーを呼んでもらいましたが、出払っているとか遅い昼食中とかで、もともと少ない台数しかないタクシーが、一台もつかまりません。歩くと20分はかかりそうです。
さしもの能天気な私も、う〜ん、と頭を抱えこんでしまいました。幸いなことに、事情を察したホテルのマネージャーが、彼の車で送ってくれました。もちろん車の中から、携帯電話で、道を間違えたので10分遅れますと、シャトーに断りの電話は入れておきました。
シャトーの沿革としては、1971年にComp Joseph-Hubert von Neippergが由緒あるこのシャトーを入手し、1983年からご子息のステファン・ネイペルグ伯爵に跡を譲り今日に至ります。
名前にvonとついていますから、ドイツ系だと分りますが、ネイペルグ家はオーストリア出身の貴族なのです。
シャトーに着くと、なんと、オーナーのネイペルグ伯爵が御自ら出迎えて下さっていました。もう、恐縮の限りです。