ワイン 百一話
シャトー・カノン・ラ・ガフリエール(Part 3)
折角の機会ですので、発酵中のワインを見せてもらいました。
写真がそれですが、じっと見ると、ぶどうの皮が丸い形で見えますね。そうなのです、発酵が始まってからまだ日も浅いので、皮が粒のままの形を残して、発酵中のぶどう果汁(これを「果もろみ」といいます)の上に浮かんでいるのです。浮かんでいる部分を、「果帽」とよびます。 |
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ピジャージ(櫂入れ)と呼ばれる工程に用いられる機械 |
「果帽の上は、歩けますよ」と言われてビックリ。まさか、いったん上に乗ったら最後、ずぶずぶと沈んでしまうに違いありません。
しかし、よく聞くと、浮かんでいると一口に言っても、深さが4mほどある発酵槽の中に浮かんでいる果帽は、厚さがなんと1.3mもあるとのことです。
歩けるどころか、少々のことではこの果帽は沈まないのだそうです。
赤ワインを造るときには、浮かんでいる果帽を果もろみの中に沈めるという大切な作業工程があります。ピジャージュ(日本語では櫂入れ)と呼ばれる操作です。
なぜ、ピジャージが必要かといいますと、果帽が果もろみの上に浮いたままでは、ぶどうの皮のエッセンスが、果もろみの中に溶け込みません。それでは、味わいがしっかりしたワインができません。また、発酵中には熱が出ますので、果帽が乗ったままですと、果もろみに熱がこもってしまい、発酵槽の中が高熱になって、発酵が停止してしまうのです。
とはいえ、この果帽は人間が乗っても沈まないくらいの厚みがありますから、果帽を果もろ味の中に沈めるのには、一苦労するというわけなのです。
写真の右下に見えている円盤は、動力を用いて円盤で果帽を無理矢理果もろみの中に沈める機械の一部です。実際に、伯爵が機械を動かしてそれを見せてくれました。
なるほど。モーターがワンワンうなってから、初めて円盤がゆっくりと沈みまじめました。
シャトー・データーです。栽培面積20ha。ぶどうの樹の平均樹齢は37年。ワインのブレンド比率 (品種別の栽培面積)はシャトー・カノン・ラ・ガフリエールでは、カベルネ・ソーヴィニヨン5%、カベルネ・フラン40%、メルロー55%。発酵槽の種類は木桶。発酵期間+醸し期間は一ヶ月。樽熟成期間は12〜18ヶ月。セカンド・ワイン名はコート・ミジョン・ラ・ガフリエール。
一方、モンドットの栽培面積は4.5ha、年間総生産量は5,000〜12,000本。ブレンド比率は、カベルネ・フラン25%、メルロー75%。