ワイン 百一話
シャンパーニュの騎士 1(Part 1)
今日はシャンパーニュの騎士の叙任式です。正しくはOrdre des Coteaux de Champagneオルドル・デ・コトー・ド・シャンパーニュと呼ばれる騎士団に、Chevalierシュヴァリエ(騎士)として迎え入れられるという意味を持ちます。
騎士に叙任される式典は、フランス・シャンパーニュ地方、ランス市にある著名なシャンパーニュ・ハウス、ド・カステルノーのゲストハウスにおいて、夕霧に包まれたある晩秋の日に行われました。いろいろな式典に出ましたが、この日は少し特別でした。といいますのは、世界ラグビー大会の準決勝戦が、夜の9時からパリ郊外でおこなわれることが決まっていました。 |
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叙任式の光景です。壇上に審査員が並び、華やかにも厳かに式典が執り行われました。 |
現地フランスの相手はイギリスチームです。そうなのです、ほんの一週間前にフランスチームは、準々決勝戦で世界的な強豪オーストラリア・ナショナルチームのオール・ブラックスに18対20で逆転勝ちしたのです。
たまたまそのときにはブルゴーニュのクロ・ド・ヴージョにいましたが、フランス人たちはまるで世界大会に優勝したかのような喜びようで、大騒ぎをしていました。ニュースによると、逆にオーストラリアでは、喪に服しているかのように国中が暗くなったとのことでした。
フランスではラグビーはサッカーほどポピュラーではありませんが、準決勝戦となると話は別です。試合開始時刻の夜九時というと、叙任式の後の晩餐会が始まった直後のはずですが、主催者はそわそわ、参加者は気もそぞろなんてことないでしょうね(笑)。少し気がかりです。
シャンパーニュの騎士団は、ルイ十四の御世に宮廷の食通として知られる貴族達によって1656年に創立された、由緒ある組織です。その後三百年もの長い間沈黙を守っていましたが、1956年に再興されました。
世界中のシャンパーニュ愛好家、すなわち各国の政財界の名士、芸術家、文化人、ジャーナリストをはじめ名だたる美食家が、この栄えある称号を得たいと思うものなのです。
私自身は1999年の秋に叙任されましたが、今回は、私が勤めるワインスクール、レコール・デュ・ヴァンの講師にその栄誉が授けられることになりました。嬉しい限りです。
タキシードに着替えて、6時にホテルを出ました。