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ワイン 百一話


シャトー・マルゴー(Part 3)

2010/03/12 PART 01 | 02| 03

セラーの見学は、実に心豊かになるものです。奥行きが50mはありそうな、広い熟成庫には、新樽に入れられた昨年のワインが静かに横たわっています。一年を通して熟成庫の室温は13.5〜16.5℃、湿度は87〜95%に保たれています。普段は照明が落とされていますので、中に入るとひんやりとして、いささか不気味な感じさえあります。醸造所の見学は、発酵作業が始まったところなので難しいとはいわれていましたが、お願いお願いと、お願いして「垣間見る」ことが許されました。

2003年はとても天候が良く、原料ぶどうの糖度が上がりすぎる傾向すらあること以外に、発酵期間が例年よりも短くなっているとのことでした。発酵期間に関しては、多少の温度管理はするものの、やはり自然の営みに流れを任す部分が大部分なのです。発酵中のワインの一部を取り出して、発酵槽の上からかけて戻す、ルモンタージュと呼ばれる作業など、これが見たかったのだ、という内容の見学ができました。「あ、これか」とか「こういうことなのか」といった、目からうろこの連続でした。
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樽作り


シャトー・マルゴーに来た限りは、自前で樽を造っているところを見逃しては残念です。ここの樽は、マルゴーで使用したあとも、世界中から売って欲しいと引き合いが来るくらいに良い樽なのです。
樽の原料となる木材は、すべてフランス産で、アリエールあるいはトロンセと呼ばれる地方のものです。いったい一年間でどのくらいの数の樽が、手で作られているのかを聞いてみました。平均して、年間350〜400個だそうです。
早速計算してみました。たる一個には225Lのワインが入ります。そのうち、滓となって途中で捨てられる容量は1.5Lのみ。となると、ボルドー・ワインは一本750mLですから、樽が400個とすると、それで熟成できるワインは12万本分です。
ところで、シャトー・マルゴーの年間総生産量は平均15万本ですから、ほとんどのワインを自前の樽で熟成していることになります。これは大変な話です。
見学の予定時間を30分もオーバーして、世界指折りのシャトーの最も忙しいときを見ることができました。
シャトー・データーです。シャトーの総面積は90haあり、そのうちの82haでぶどうが栽培されている。平均樹齢は40年。ブレンド比率にほぼ準ずる栽培面積比は、カベルネ・ソーヴィニヨン75%、メルロー20%、カベルネ・フラン2%、そして残りの3%はプチィ・ヴェルドと呼ばれる品種です。発酵槽は木桶。発酵温度は発酵終了時28〜30℃。発酵とかもしを合わせた期間は、収穫した年の天候により2〜3週間と幅があります。樽熟成期間は20〜24ヶ月。新樽使用率はもちろん100%です。清澄には卵白が用いられます。年間総生産量は平均15万本。
セカンド・ワインも上質であり、赤ワインのパヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴーは、取引価格も高く高級ワインのひとつです。このセカンド・ワインもほぼシャトー・マルゴーと同じくらいの量が造られています。また、ソーヴィニヨン・ブラン100%で造られる白ワインの、パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴーも有名です。

 



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