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ワイン 百一話


シャトー・マルゴー(Part 2)

2010/03/11 PART 01 | 02| 03

このシャトーでは、訪問者にまずシャトー・マルゴーをテイスティングさせてくれます。話よりもまず飲みなさいといわれているようで、うれしい限りです。もちろん、シャトーの概要に関する話を聞いてからではあります。ただ、今回はあなた方は何度もきているからと、オリエンテーションは割愛して、まずは一杯という感じでした。

ボルドー・ワインを飲むために作られた大きなグラスに、たっぷりと注がれたシャトー・マルゴー1998年物が出されまし。
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熟成庫に整然と並べられている樽


ワインの概観は美しいガーネット色で、透明感があります。グラスを傾けると、ワインの縁にまだ紫色が少し残っている感じがします。五年もの歳月が経過しているのに、まだ紫色がみられるのは、このワインがこれからまだまだ長い時間をかけて、ゆっくりと熟成してゆくに違いないよいものであることを物語ります。軽いワインですと、四年もたつと紫色はとうに消えてしまっているものなのです。
グラスに鼻を近づけて香りをとります。
あー・・・・、と思わず感動が声で出ました。
これです、まさにこれなのです。これがシャトー・マルゴーなのです。
カシス、ブラック・チェリー、ベリー系の果物、トリフ、赤い花、バラ、バニラ、腐葉土、木の香り、と次から次へとさまざまな香りが感じられます。しかもその香りが力強いのです。
 ワインの香りは、一秒かいだだけで、そのおいしさが予測できます。夕方家に帰り、玄関の扉を開けたとたんに、とてもいい匂いがすると、夕食が楽しみですね。あれとまったく同じことです。
10分でも、20分でも香りを楽しんでいたいところですが、そうもゆきません。いよいよ口に入れるときです。
ひとくち含むと、ビロードのような口当たりです。最初の口あたりのことは、アタックと表現されますが、実に滑らかなアタックです。
落ち着いた酸が十分にあり、果実味も豊かです。果実味とアルコールに含まれるグリセリンとがワインに甘さを感じさせます。タンニン分はまだ若々しいですが、エグ味はなく、心地よい渋さがあります。飲み込んだあとの後味も、余韻が長く、口の中から鼻に抜ける香りも良い気分にさせてくれました。
もう、至福のときです。
なみなみと注がれたワインを、きれいに飲み干して、控えめにガッツポーズをすると、ビザール女史も、それは良かったという表情でした。

 



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