ワイン 百一話
シャトー・オー・バイユ(Part 3)
しかし、オー・バイイでは、なんとすべてが済んでいました。
ですが、何事にも前向けでなければなりません。幸いなことが目の前にありました。 |
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工事中なのでと、客間で行われたテイスティングは家庭的でした。 |
収穫から発酵準備に至るすべての機械類が、きれいに洗浄されて、乾かしている最中だったのです。
器械の中の仕組みを知るのに、これほど良い機会はありません。大いに勉強になりました。
そのひとつ、写真は除梗器の中のプロペラです。ぶどうを収穫した後は、まず房から実をはずして、真ん中の梗を取り除かねばなりません。篩(ふるい)に材料を載せて、竹べらで上から擦り付けると必要なもののみ下に落ちて、いらないものがふるいの上に残るのと同じ理屈です。
ぶどうの実のように柔らかなものを、このようなプラスチック製の竹べらで押さえつけて作業するのに実が壊れないのはたいそう不思議ですが、現実にはこの器具がうまく働くのです。
以前から知りたかった、いろいろな技術的な質問を沢山して、あるものは再確認しあるものは新たな知識となりました。
オー・バイイでは、醸造所の大改築が進行中でした。というわけで、テイスティング・ルームは現在使用できないので、居間でテイスティングしました。
このテイスティングはなかなかに面白いものでした。2002年物の熟成中のワインが並びました。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランです。
あたらしい醸造所が完成したら知らせるから、またいらっしゃいねと「後見人」に言われ、感謝してシャトーを後にしました。
シャトー・データーです。赤ワイン:栽培面積は28ha。平均樹齢は40年。ブレンド比率はカベルネ・ソーヴィニヨン65%、メルロー25%、カベルネ・フラン10%。発酵槽はステンレス・タンク。発酵温度は発酵終了時30℃。(発酵+かもし)期間は3週間。樽熟成期間は12〜14ヶ月。新樽使用率は60%。年間総生産量は13万本。セカンド・ワインはラ・パルド・ド・オー・バイユ。