ワイン 百一話
シャトー・ラフィット・ロートシルト(Part 1)
メドック一級格付けのラフィットは、名実共に、世界最高峰のワインです。紀元前325年頃から、すでに、《 この大地は特別によいワインを生み出す 》と詩に謳われていたとか。そして1355年にポイヤック村の一番北の小高い丘にぶどう園が拓かれたのが、シャトー ラフィットの始まりです。そして、このシャトーの名前は、ルイ十五世のときにワインの歴史の中で華々しく登場します。
百年戦争の後、フランス宮廷ではブルゴーニュのワインが愛飲されていました。そしてブルゴーニュのヴォーヌ・ロマネ村に、ロマネと呼ばれる素晴らしいワインのあることがよく知られていました。その素晴らしい畑を手に入れようと、ルイ十五世の寵妃ポンパドール夫人と王のいとこであるコンティ伯が争ったわけです。争奪戦は、1760年、破格の金額を提示したコンティ伯に軍配が上がります。ロマネ・コンティなる名前の誕生です。 |
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円形のカーヴには熟成二年目のワインが眠ります |
敗れた、ポンパドール夫人はボルドーにも素晴らしいワインがあると聞き、ここでシャトー・ラフィットに出会いこれを手に入れます。不本意にもポンパドール夫人の怒りを買ってしまったブルゴーニュ・ワインは、ヴェルサイユ宮廷の宴席からを閉め出されてしまいます。ブルゴーニュ・ワイン生産者達の嘆いている様子が、眼に浮かびます。シャトー・ラフィットを飲むことは、フランス貴族のステイタス・シンボルである、とさえいわれたそうですから、ポンパドール夫人の影響力は物凄いですね。
蛇足ですが、何とか夫人とつく余所の奥様が王の寵妃ときくと、すこし首を傾げたくなりますが、江戸時代の大奥でどこかのお内儀が上様のお目にとまり、ナントカの局になった、みたいなストーリーのようです。