ワイン 百一話
シャトー・ラグランジュ(Part 3)
畑を案内してもらいました。実によく手入れされています。写真で見る小石は、わざわざ持ってきてばら撒いたものです。この砂利が水はけをよくし、かつぶどうにミネラル分を与えてワインの味わいに深みをますのです。
畑の後は、醸造所内も見せてもらいました。工場内にはステンレス・タンクがずらっと並び壮観です。「サントリーがこのシャトーの経営に乗り出した当初、ここには旧式の醸造機具しかありませんでしたので、それまであった醸造設備はすべて廃棄して、最新式の温度コントロール装置をそなえたジャケット式ステンレス製発酵タンクを揃えました。この設備の導入は、全メドックで初めてでした。」と椎名さん。 |
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整然と並ぶ新樽の列 |
「発酵方法はメドックの伝統を忠実に守り、高温度(28〜30℃)で長時間(15〜20日間)。また、畑を小さな区画に分け、数多くの発酵タンクで別々に醸造する方法をとっているので、ブレンド作業が厳密に行えるのです」とも。
ここでは、1983年のヴィンテージから樹齢の若いぶどうを使ったセカンド・ラベル「レ・ フィエフ・ド・ラグランジュ」を設けています。このような、《新生》ラグランジュが、その設備と技術をひととおり完成させたのは、1985年でした。
シャトー・ラグランジュが1985年に植えたぶどうの樹齢が、20年をこえる2005年頃から、シャトー・ラグランジュはさらに高い評価を受けるに違いありません。
1995年、2000年、2004年物のシャトー・ラグランジュの垂直試飲をされてもらい、大満足の筆者でした。
シャトー・データーです。樽熟成期間はシャトー・ラグランジュは18か月。フィエフ・ド・ラグランジュは12か月。一年目の蔵、二年目の蔵合わせて三棟。一棟が長さ108m、幅11mあります。これだけ大きな熟成庫はボルドーでも珍しいことです。新樽比率はシャトー・ラグランジュ60%、フィエフ・ド・ラグランジュが20%。
白ワイン《レ・ザリュム・ド・ラグランジュ》は1996年から造られています。樽で発酵させるのでが、2001年産以降は100%新樽を使っています。品種構成はソーヴィニョン・ブラン、セミヨン、ミュスカデルが6:3:1の割合。生産量は60〜90樽。