ワイン 百一話
ボンタンの騎士(Part 2)
ときは6月30日ですから、夏至の直後です。一度公園を閉めて、中の安全を確保してから、再度セキュリティ・チェックを受けた招待客のみが入れる段取りでした。式典は午後8時に始まりました。まだ、太陽が出ています。北緯は日本よりもずっと高いのです。
式典用の石の舞台があり、その上には審査員達が並び、下の椅子に受賞者と一部の来賓が座ります。椅子の数は、200前後ですのでほとんどの参加者は後ろに立って見ているわけです。最前列の椅子には、名前を書いたカードが張られていました。受賞者の名前です。あって当然とは思うものの、私が推薦した彼女の名前が本当にあるのかを探してしまいました(笑)。 |
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暑くとも正装で。襟章がボンタンの騎士の証です |
叙位を受ける人は、なんと40人足らずでした。来賓800人ですので、それに対して受賞者数が少ないことに驚きました。それよりも、驚いたことは、受賞者のリストにはプリンセスの敬称がついている人が二人もいたことでした。いかに、ボンタンの騎士の位が格式の高いものであるかを、改めて実感しました。
ゲストが三々五々集まってきます。男性は全員がタキシードです。梅雨などないフランスのしかも大西洋に面したボルドーの夏至直後ですので、快晴のこの時間帯ですと外気温は35℃近くまだあります。私もタキシードの正装ですので・・・・・、暑いということは考えないでおこう、と努力するのみです。幸いなことに、湿度は高くはありませんが、それでもボルドーは海洋性気候ですから、いささか蒸します。
女性は殆どの人が肩を出したフォーマルなドレスでした。ヨーロッパが感じられます。
式典は、まず開会を告げるファンファーレとともに、コマンドリー(司令官)と呼ばれる審査員達の入場で始まりました。ボルドーのシャトーのオーナークラスの人たちが揃うのです。皆さん雑誌のグラビアでも見ることがある人たちですから、彼らが並ぶと、本当に壮観でした。全員が、正装である正式のガウンをまとっていました。お目にかかったことがある人もいました。
我が副校長は、三人目に呼ばれました。《東京にワインスクールを立ち上げ、校長のドクター・ウメダを支えてスクールの発展に寄与した》ことが、ボンタンの騎士の位を受けるに相応しい、と認められました。騎士団団長のカーズ氏が式典を執り行っていました。