ワイン 百一話
ローラン・ペリエ(Part 3)
テイスティングは応接室でした。まず、ウルトラ・ブリュットと呼ばれる甘味のまったくないものが出されました。これはフランス料理がクラシックなスタイルからターベル・キュイジーヌに移り変わってゆく様にあわせたもので《ノーメイク》なシャンパーニュですと説明されました。上手いこといいますね。ノーメイク、まるでナチュラルなシャンパーニュですからワインですから軽めのお料理にあわせやすいです。
ブリットL-Pは、年号の入らないノンヴィンテージ・シャンパーニュですが、瓶に入れてからの熟成期間は約36ヶ月です。これはノンヴィンテージ・シャンパーニュに対して課せられている法定熟成期間十五ヶ月をはるかに超えた三六ヶ月にしてあります。 |
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案内してくださった女性とロゼ・シャンパーニュで乾杯 |
ブドウ品種はシャルドネ45%、ピノ・ノワール40%、ピノ・ムニエ15%ですが、味わいを均一にするために10〜20%前後のリザーブ・ワインが使用されます。リザーブ・ワインとはその名の通り、保存してあった前年から数年前のワインを指します。なぜこのようなブレンド技法が必要かといいますと、シャンパーニュは寒い地方ですから、天候がよくない年にはよいぶどうが収穫できません。そのような材料からは、決して良いシャンパーニュはできません。そこで、それぞれのシャンパーニュ・メーカーは自社製品の味わいを一定にすべく、リザーヴしてあるワインをブレンドしているのです。この技術が難しいのです。
このブリットは動瓶・口抜きのあとのドサージュ(加糖)はやや控えめで一リットル当たり十二グラムです。これはあわせる食事の内容を選ばない万能シャンパーニュです。
三つ目のテイスティングには、ローラン・ペリエ社のプレスティージュ・シャンパーニュ「グランド・シエクル」が出てきました。わぁーと小さな声で歓声を上げました。
面白いことに、プレスティージュ・シャンパーニュとしては珍しく、グラン・シエクルは年号がありません。最良の良い年のワインを三つ合わせるブレンド法をとっているからです。
最後はキュヴェ・ブリュット・ロゼです。シャンパーニュのロゼは、フランスで唯一、白ワインと赤ワインをブレンドして造ることが認められている地方です。ですがこの実に美しいロゼ・シャンパーニュは「セニエ」と呼ばれる手法でつくられています。この手法は、除こう・破砕したぶどうを発酵が始まらないように丸一日程度そのままにしておく、スキン・コンタクトと呼ばれる状態にしておきます。すると、果汁には赤い色がつくのです。そして、その色のついた果汁をプレスする時に少量のシャルドネを加えるそうです。
お土産を下さいました。ブリット・ローラン・ペリエの1999です。あれっ!? ブリット・ローラン・ペリエはノン・ヴィンテージではなかったのですかと聞くと、「実は、これが最後の年号入りなのです。これ以後はもう造っていません」。心から感謝してニコニコ顔の筆者でした。