ワイン 百一話
絵画に見るワイン 3 (Part 3)
2011/07/27 PART 01 | 02| 03| 04
ドガ(1834-1917)
フランス印象派の運動に参加した画家であり彫刻家でもあります。『オペラ座の楽屋』では、ドガの描く踊り子が沢山出てきます。晩年はパステル画を好んで描きました。
ワインが出ている作品は『アブサント(1877年)』。原語のL’absintheはアブサンの名前で知られているお酒です。
アブサンとはパスティスと同じものです。フランス人は、そのまま飲むのではなく、水で割って飲みます。水で割ると白く濁るのです。わずかに甘味があり、アニスの香りがします。
白い服に白い帽子を着た中年の女が、この白くにごった酒を前に、悄然としています。客のいない右隣りのテーブルには水差しがあり、アブサンをこの水で割ったことが分かります。両手は膝の上におき、やや伏せ目がち。
背景の鏡に写るカーテンから、彼女の席が窓に近いところであることが見て取れます。
左横には、同じテーブルについている、黒いコートに黒い帽子の男が一人。女の白と男の黒のコントラストが際立ちます。外見やすさんだ表情からみて、この男はほとんどアル中です。飲んでいるのは赤ワインのようでした。
ところで、この女は女優エレン・アンドレー、男は友人の画家マルスラン・デブータンとされています。で、この女優が、実はルノワールの作品にも出てくるのです。