ワイン 百一話
映画に見るワイン 3 (Part 3)
2011/03/27 PART 01 | 02| 03| 04| 05| 06| 07| 08
ディスクロージャー
1994年CIC社製作。監督:バリー・レビンソン、主演男優:マイケル・ダグラス、主演女優:デミ・ムーア。原題はDISCLOSURE直訳すると『暴露』。真実が明らかにされることを指しています。舞台はシアトル。
トムはハイテク産業、コンピューター・ソフト・メーカーの上級スタッフです。間近に迫った昇進通知を、家族ともども楽しみにしていたところ、解雇される可能性もあるという噂に接します。しかも、新しく着任した上司は、よりにもよって、昔の恋人であるメレディス(デミ・ムーア)。不安と怒りの表情をみせるトムを、マイケル・ダグラスが演じます。
会社の合併話が具体化し、身の置き所がなくなりそうなトムに、メレディスはよりを戻そうとたくらむのです。メレディスに、午後7時にオフィスに来て、といわれたトム。新会社に関する話に違いないと自分に言い聞かせます。
オフィスに入ると、メレディスが電話をかけながら、「ワインを」と指さします。トムはボトルを取り上げて、ポンと音をさせからすぐにグラスに注ぎ始めました。ワインのコルクは一度抜いてから、もう一度仮に差込んだだけの状態だったのだと分かります。
上質のしっかりしたワインですから、飲む直前ではなく、1時間以上前から抜栓しておいたのでしょう。この段取りはとても適切です。
メレディスが電話を切ると、トムが「91年のパルメイヤーか。豪勢だな」と誉め、「部下の男を喜ばせたくてね」とメレディスが応えます。ワインは白ですから、パルメイヤーのシャルドネですね。これはなかなかの上物です。
実は、二人はかつて恋人同士であり、一緒にナパ・バレーを旅行してパルメイヤーに立ち寄ったことがあります。これが伏線となっています。メレディスは、その時の思い出のワインを用意したことで、トムに昔を思い起こさせて、もう一度自分になびかせようという魂胆です。
ここに出てきたワインのパルメイヤーは、1985年に法律家パルメイヤーが創立したワイナリーで、91年がファースト・リリース(最初にワインが売り出された年)です。この91年物は、ワイン・スペクテーターなるワイン専門誌で高く評価されたことから、パルメイヤーは一気に有名になります。ですから、超有名でありとても高価なワインなのです。