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ヒポクラテスとワイン 2 (Part 2)

2011/02/01 PART 01 | 02| 03| 04

ギリシアといえば、医聖ヒポクラテスの生まれ故郷です。今でも医師になる時に、「ヒポクラテスの誓い」を立てることがあります。「ヒポクラテスの誓い」とは、ギリシアの世襲医家の子弟が修行を終えて、正式に医師として認められるときに宣誓したものとされています。
「ヒポクラテスの誓い」は「医神アポロ、アスクレビオス、ヒュギエイア、パナケイアおよびあらゆる男神女神の前に、この誓約、この義務を、わが力、わが誠を持って履行することを誓う」で始まります。そして「富める人、貧しい人を区別することなく治療する」とか「この術を、私たちの先生の息子たちに、無償で教えることを約束する」という言葉が入ります。
 医家が世襲性であったことから、このような内容も盛り込まれているのです。そして、「職務上の見聞や他人の私生活の秘密は口外しない。もしこの誓いを固守し破らない場合には、世の信頼のもとに長く私の人生と術とを楽しましめよ。もし破った場合には、逆の報いを与えよ」で締めくくられています。
 実は、私はこの「ヒポクラテスの誓い」に関しては、そのような誓いがあることはなんとなく知っていましたが、実際に耳にしたことはありませんでした。医学生時代も卒業式のときにも、全く触れずにとおってきました。
「ヒポクラテスの誓い」をはじめて耳にしたのは、フランスに留学しているときでした。
「今日は、ドクトール・レッチェールの学位授与式があるから、午後四時になったら連れていってやるよ。耳鼻科の玄関の入り口で待っていな。」と同期のシュミット(レジデント一年生)がいいました。というか、そのように彼は言ったはずです。なにぶん、フランスについてシャンパーニュを飲まされてひっくり返ってから、まだ一月も経っていません。当方は、まだまだフランス語不自由人なのです。
「うまいシャンパーニュが飲めるぞ」と付け加えました。何を言っているのか、ますます分かりません。生来引っ込み思案とは縁のない私で、しかもこれからフランスに適応しなければとの気負いもあります。何が何でもどこにでも行くぞと、決めておりました。しかし、うまいシャンパーニュとはヤダナ、とこれの方はいささか気が滅入ります。
 飲めない人間は酒席に出るのは、なんとも躊躇してしまいます。
「シビルで行くからな」とシュミットがもう一言付け加えました。ジビルねぇ〜、確かあいつの車はルノーだったよな〜、などと考えておりますと、「ジビルとは白衣は脱いで、ネクタイするんだよ」と説明が入りました。「カメラを持っていって写してやれよ」ともいいました。いっぺんにそんなに沢山言って呉れるな、と反論したいところです。
 とはいえ、ネクタイをしてカメラを携帯しろとのことなのです。なになに、それならば日本人の得意とするところではありませんか。「ウイ、ウイ」と二つ返事をしました。



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