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ワイン 百一話


小説にでてくるワイン 4(Part 4)

2011/06/15 PART 01 | 02| 03| 04| 05

さて、たらいで冷やしている最中のシャンパーニュをとり出して、トニイが調教師の奥さんと秘書の三人が味わう場面です。<私はそのシャンパンは、いつもながら心持ち味が薄く、その泡立ちが強すぎるような気がしたが、これだけの量を供する事を考えれば、賢明な選択と言える。私は同じシャンパンを結婚式に大量に売っている(訳文のまま)>。
 この記述からある程度知名度の高い、しかし、大量生産されているシャンパーニュだなとわかります。
 このあと、駐車中の車のブレーキがはずれてテントにつっこみ、死者が出る大惨事が起きます。惨事そのものは、結論として子供の悪戯であり、意図的に生じた犯罪ではなかったとわかるのですが、その捜査の段階であるレストランのワインの中身が、すり替えられている事が明らかにされます。
 トニイは刑事と共に疑惑のレストランを訪れ、ブラインド・テイスティングをはじめます。まず、銘柄の異なる白ワイン六本をあけさせました。
 最初のワインはニアシュタイナー。これはドイツ、ラインヘッセン地方のものです。ブドウ品種はリースリングでしょう。二本目はシャブリ。フランスではブルゴーニュ地方で産出される世界的に有名なもの。品種はシャルドネです。三本目はプイィ・フイッセ。フランス・ブルゴーニュ地方のマコネ地区のもので、品種はシャルドネ。四本目と五本目が省略されていて、六本目はソーテルヌでした。ソーテルヌはボルドー・ソーテルヌ地区で造られる甘口(貴腐)ワインです。これらの白の六本はすべて本物、品質に問題ありません。
 次に赤のテイスティングに移ります。六本の赤ワインを抜栓しました。サンテミリオン、サンテステフ、マコン、ヴァルポリチェッラ、ヴォルネイとニュイ・サン・ジョルジュで、いずれも1979年ものです。ヴァルポリチェッラ以外はすべてフランス産です。
 サンテミリオンはボルドー地方サンテミリオン地区のワインで、メルロー種が主体。サンテステフはボルドー地方メドック地区サンテステフ村のワインで、カベルネ・ソーヴィニヨン種が主体。マコンはブルゴーニュ地方マコネ地区のもので、ボジョレーと同じガメイ種が主体。
 ヴォルネイもニュイ・サン・ジョルジュも共に、ブルゴーニュ地方で同名の村でピノ・ノワールから造られる赤ワインです。



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