ワイン 百一話
映画に見るワイン 2(Part 2)
2011/03/13 PART 01 | 02| 03| 04| 05| 06| 07| 08
ボルドーの最高級品であるシャトー・ムートン・ロートシルト、1955年物は特別によく出来た年のものです。
ですが、ワインをサービスするソムリエは、このような極上等のワインを、ポンプ式の簡易なコルク抜きで、ポンと音を立てて空けてしまいます。ボンドのオヤという心の動きが表情に出ています。本来ならば、このようなワインはソムリエナイフで丁寧に抜栓し、重々しくサービスされるべきものです。ヘンだと感づいたボンド。
「逸品です」とソムリエがワインを注ぎながら付け加えます。
ボンド「好かんな。君のアフター・シェーヴだよ。においが強すぎる」
顔を見交わす、ソムリエとウェイター。
ムートンを一口飲んで、満足げな表情のボンド。しかし、アフター・シェーヴの匂いが敵のものだったことを思い出します。
「ワインは最高だ」「しかし、この食事にはクラレットが合う」とかまをかけるボンド。
「残念ながら当船にはクラレットがなくて」と言い訳するソムリエ。
「ムートン・ロートシルトはクラレットだ」といいながら、相手の反応を見るボンド。
ここで場面は急転直下。ボンドに襲いかかるソムリエとウェイターに化けていた敵の殺し屋達。ここで、ソムリエが首からかけていたタストヴァンのチエーンが、実は武器になるような強い鉄の鎖であることが分かります。
バーベキューの串に火をつけて、ボンドに突き進むウェイター役の殺し屋に向けて、ボンドはテーブルの上に置かれていたビンを割ってその中味を振りかけます。全身火達磨になるウェイター。
この時のビンは、みたところコニャックのようでした。嗚呼、もったいない。