ワイン 百一話
ヒポクラテスとワイン 1 (Part 1)
2011/01/25 PART 01 | 02| 03| 04
ギリシアは神話の中のワインだけでなく、実際にヨーロッパにおける最古のワイン生産国です。
前回お話したように、神話が成立したのはミケーネ時代(紀元前1500年)とされています。ワインの神様、ディオニソス・バッカスも登場したあれです。ちょうどその頃、エジプトからエーゲ海の諸島に、神事や王のためにワインの造り方が伝えられ、その後ギリシア本土にひろまりました。
時の経過と共に、ワインが庶民のための酒として飲まれるようになるにつれて、ギリシアにおいて、ヨーロッパのぶどう栽培や醸造技術の基礎が確立されます。
その証拠として、現存する世界最古の醸造所が、クレタ島のヴァシペトロにあることが考古学的にも認められています。
古代ギリシアでは、ワインを酌み交わしながら政治、経済、文化、芸術を論じていました。このことをsymposionシュンポシオンといい、これがsymposiumシンポジウムの語源となっています。当時のワインは水割り、海水割りにして飲んでいたそうです。
というのも、朝から夜までワインを飲みながら論じ合ったとかで、ワインを生のままで飲んでは、酔っ払ってしまい「お話にならなかった」からだと解釈されています。多分、昨日のシュンポシオンはとてもよかったというのは、ワインが美味しかったという意味に違いありません。この解釈には、ワインがとても美味しければ、論じ合う内容もより深いものになったに違いない、という著者の思い入れもありますが…。
さて、ワインを運搬したり貯蔵したりするために使用したのがアンフォラで、このアンフォラを封じるために、松脂を使用していました。当然、この松脂がワインに溶け込んで、松脂風味のワインができたはずです。これが現在のレツィーナのルーツです。