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オスピス・ド・ボーヌでは、毎年11月の第3日曜日に、世界的に有名なワイン・オークションが行われます。1851年からあるこのオークションには、世界中からワインの買い手とジャーナリストが集まります。そして、落とされたワインの価格が、その年のブルゴーニュ・ワインの価格の基礎とされるのです。

オスピスでのワイン・オークションと同じ時期に行われる、シャトー・クロ・ド・ヴージョでのシュヴァリエ・ド・タートヴァンの叙位式、ムルソーの昼食会の三つを合わせて、＜栄光の三日間＞と呼ばれます。
		畑に建てられた標識には、ここはオスピス・ド・ボーヌが所有するムルソー・シャルムの畑であることが明記されています。ブドウは沢山できそうですが、これがワインになると手に入らないのです(笑)。

オスピスが所有する畑から造られたワインには、ご祝儀的な値段が付けられるものですが、中でも、価格といい品質といい最高級のものは＜オスピス・ド・ボーヌ　ムルソー・シャルム＞と呼ばれる白ワインです。
在京の友人である外科医が、ブルゴーニュを旅行しているときに飲んだ、あの＜ムルソー・シャルム＞が忘れられない、夢にまで見ますよというので、じゃあ一本買って帰ろうとパリで懸命に探したことがあります。
「そんなもの、ないよ」最初の店で浴びせられた台詞です。「ないことはない、あるはずだ」と気色ばむと、「いや、なにさ、その名前のワインは確かに存在するけれど、現実には流通していないよ」とのことでした。
あちこち回り、4軒目にやっと1本見つけだしました。しかし、しかし、その値段たるや世界最高の貴腐ワインであるシャトー・ディケムにも似た価格が提示されるに及んで、ついに諦めたことがあります。