ワイン 百一話
ジョゼフ・ドルーアン3(Part 3)
畑の見学は割愛ということで意見が一致したところで、工場を見に行くことになりました。ブルーの小さなプジョーの中は、当然のことながら床は泥だらけ。ボーヌの町から少し離れたところに畑と大きな醸造所がありました。
例によって、これがシャンベルタン、これがモンラッシェと、樽に入っている熟成中のものをテイスティングさせてもらいました。瓶に入ってしまっては、ちょっとやそっとでは飲めない代物です。工場の中を歩いているときに、案内係が、ちょっとここで待っていて欲しい、というジェスチャーをしました。ドアを見ると、分析室と書かれてあります。 |
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ジョゼフ・ドルーアンその人です |
そう言えば、今は今年のワインを毎日のように品質をチェックしているはずです。彼が出てきました。ニッコリしています。
「ムッシュー・ドルーアンがお目にかかりたいと申しております」とひとこと。
「えっ!本物?」というはずはありませんが、予期していませんでしたので、私はとても緊張してしまいました。
伝説的なその人は、よく来てくださいましたと言いながら、柔らかい手で握手をしてくれました。