ワイン 百一話
ピエール・アンドレ2(Part 2)
コード・ド・ボーヌは、まさにシャトー・アンドレ・コルトンが主役です。華やかな香りがあり、豊富でしっかりしたタンニンが魅力的です。村名ワインであるラドワ・セリニィとアロース・コルトンはエレガントさが特徴的。以上はすべて赤ワインです。
そして白ワインには、有名なコルトン・シャルルマーニュがあります。シャルルマーニュとはローマ帝国の将軍の一人であり、ドイツでカール大帝と呼ばれていた人と同一人物です。このシャルルマーニュには次のようなエピソードが残っています。彼はワイン大好き人間でして、好んでこの地の赤ワインを飲んでいたそうです。 |
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コルトンの丘。頂上には雑木林があり、なだらかな南の斜面に特級畑が所狭しと並んでいる。 |
ところでシャルルマーニュには白い長いひげがあり、ワインを飲むごとに自慢のひげが赤く汚れたらしいのです。それを見るたびに奥方が「ダサい」という当時らしい今風の率直な表現をしたのか、「大帝たるもの常に完全でなければなりませぬ」とエレガントに諭したのかは定かではありませんが、とにかく、「その赤いのはなんとかならんか」という話になったそうです。ローマ時代であっても、奥方様という地位は、今以上に偉かったのかもしれません。
そこでシャルルマーニュは、ちっとは骨のある赤ワインに匹敵するような白ワインを造れ、と命ずることになります。そのようなコンセプトから造られた、ひげを汚さない白ワインがコルトン・シャルルマーニュでした。このエピソードもさもありなん、成る程と思えるほどに、コルトン・シャルルマーニュは実に骨格のしっかりした力強い白ワインです。
品種はシャルドネ。樽で熟成させたもので、お気軽には熟成してくれません。しっかりと造られたものゆえに、じっくりと時間をかけて熟成させるべき代物です。また飲み頃に達しても、抜栓した後、二〜三時間はそのままにおいてから飲みたいものです。