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ワイン 百一話


ルイ・ラトゥール1(Part 1)

2009/12/09 PART 01 | 02| 03

ブルゴーニュの三大Lといえば、ルイ・ラトゥール、ルイ・ジャドー、ル・ロワの三社を指します。中でも、ルイ・ラトゥール社はブルゴーニュ最大クラスのワインメーカーです。初めてルイ・ラトゥール社を訪問したのは1997年の5月でした。それ以来すでに5回訪問しています。

有名なコルトンの丘に足を入れると、ぶどう畑にうずもれたように、一見なんだか物置小屋のような建物が目に入ります。「あれが、ルイ・ラトゥールですよ」といわれて、生産量のわりに小さな醸造所だなというのが第一印象でした。ところが着いてみて、びっくり。結構大きな建物でした。周りには畑しかないので、距離感が分からなかったのです。
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ぶどう畑にうずもれたようにみえるワイナリーの本社施設です


とはいえ、見える範囲には大した施設はありません。ですが、なんと、地下には巨大な醸造工場と貯蔵庫がありました。
それはそうです。土一升、金一升の最高級なコルトンの畑の上に、工場など立てる必要はありませんね。
ルイ・ラトゥール社では、観光客を受け入れていませんので、訪問する希望を受け入れてもらえた人は、すべてしかるべき顧客か、ワインに関する専門家なのです。ここを訪れた人が案内されるコースは、一通りは決まっているようです。
まず、畑の見学をしましょうと提案されました。案内して下さった人は、開口一番「赤いワインを造るのには、赤い土がよいのですよ」。う〜ん、なるほど。オーストラリアにもあるテラ・ロッサ(赤い土)のことですね。畑の中だけで半時間ほどいろいろと説明を受けました。
いよいよ、建物の中に入ります。前夜は雨だったらしく、醸造所の中に入る前に靴の泥を落とすのが大変でした。 
天下のルイ・ラトゥール社の醸造所に中には、ぴかぴかのステンレス・スチール製の発酵槽が所狭しと並んでいると思いきや、なんと発酵槽は見たところすべて木製でした。これには驚きました。長径三メートル、高さ三メートルの楕円系の大きな木の桶が、整然と並んでいました。
木製の発酵槽では、発酵中の温度管理が難しいので、多くのワイン・メーカーがステンレス製のものを積極的に取り入れています。
「何故ステンレスの発酵槽を使わないのですか」、と訊ねながら、心の中でつまらない質問をしてしまった、と自覚していました。案の定、「百年前からこれでやっているのに、ナンデ変える必要があるのでしょうか」と、ごもっともなお返事でした。
ルイ・ラトゥールでは百年以上前から美味しいワインを造っていますよ。栽培の方法も、醸造の方法も、熟成の方法も何も変える必要はありません。変えないからこそ美味しいワインができるのです。なんでも新しいものに飛びつくのは良くないことですよ。とお説教されてしまいました。はい、スミマセン。



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