ワイン 百一話
ニュイ・サン・ジョルジュ/プリューレ・ロック2(Part 2)
アルマン・ルソーと同じでして、やはり人差し指でピペットの先をポンポンとさせて、ワインを引き抜いていました。
シャンベルタン・クロ・ド・べーズが最高に素晴らしい出来具合でした。ところで、彼が造るシャンベルタン・クロ・ド・べーズのラベルには、クロ・ド・べーズとしか書かれていません。その事について聞くと、シャンベルタン・クロ・ド・べーズにはシャンベルタンの名前を借りなくとも通用する超一流品なのである、とかでした。 |
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シャンベルタン・クロ・ド・べーズの畑 |
とにかく自信を持っていうので、私もなんとなく納得してしまったのでした。
ところで、バイオ・ダイナミックスはロワール地方のクレ・ド・セランを造るニコラ・ジョリも有名ですが、彼らの主張のみならず、バイオで造ったワインは長持ちすること、そしてブドウの樹の寿命が長いことは紛れもない事実とされています。
「夕食の予定はあるか」と聞かれました。この質問を受けたら、なんとしても「ない」と答えなければなりません。これは、世界共通の、阿吽の呼吸なのです。
「そうか、夜の予定がないのなら、一緒に食べよう。ついては家内も一緒で構わないか」。「もちろん!」
フランス人が客に声をかけた上で奥さんと一緒に食べるものは、まずは最高に美味しいもの、と相場は決まっています。
じゃあ〜と、携帯電話でどこかにかけていました。食事の前に、少しドライブするかというので、「大賛成」と答えました。何やら、素晴らしい展開に違いありません。
「これが先ほど話した、最近手に入れたモノ・ポールだよ」とクラディエーターが宣いました。その声でハッと目が覚めたのですから、ウトウトしていたようです。モノ・ポールとは単一所有者のことで、たとえばロマネ・コンティはDRCという名称の会社が単独でロマネ・コンティというAOCを独占しているという意味になります。AOCの説明までするゆとりはこの紙面ではありませんので、それは各自で勉強なさってください。
ボーヌ・ロマネ村に入ったすぐのところに、一級畑を独占して持っている話は確かに先ほど聞いていましたが、それが目の前にありました。というところで、これ一体いくらしたの、と聞きたいところですが、ロマネ・コンティの経営者に向かって、そのような貧しい発想の質問はできませんね。しませんでした。
「写真を写すのなら、いいところがあるよ」と親切。どんどんと小型の車ならではの山登りです。ボーヌ・ロマネの村と畑を一望の下に見渡せる、丘の頂上付近にまで連れて行ってくれました。