ワイン 百一話
オリヴィエ・ルフレーヴ 1(Part 1)
オリヴィエ・ルフレーヴは、「なんとかモンラッシェ」の造り手として超一流です。
例によって、朝早くホテルの前を出たカミカゼ・タクシーは、十二分に時間的ゆとりを持ってシャサーニュ・モンラッシェ村に着きました。ムルソーよりも小さな村なのですが、ここで造られるワインは辛口白ワインの世界最高峰です。 |
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オリヴィエ・ルフレーヴ社です |
そうなのです、かの三銃士やモンテクリスト伯を書いたかのアレキサンダー・デュマをして「帽子を脱いで跪いて飲むべし」と言わしめたモンラッシェの故郷がここです。
オリヴィエ・ルフレーヴと看板が出ていますので、間違いはないのでしょうが、入口はまるでヨーロッパでよく見かける、小さなレストランのノリでした。
出迎えてくれたのは、30歳を少し過ぎた背の高い男性でした。「昨日は家内がご案内したそうで」と初対面なので懐かしそうに話しかけてくれた。思い出しました。シャトー・フュイッセのお嬢さんのお相手がここにいると聞いていました。
雲行きが少し怪しそうです。醸造所よりも先に畑を見ることにしました。ロマネ・コンティやシャンベルタンと同様に、モンラッシェの畑を見ることは今回の取材旅行のひとつのハイライトでした。というのも、ロマネ・コンティの畑は石垣で囲まれていて十字架が立っていました。シャンベルタンの畑には<ここからシャンベルタンが始まる>と書かれた大きな看板が立っていました。モンラッシェの畑は、どうなっているのだろうかと興味津々だったのです。
まさか、アレキサンダー・デュマの像が立っているわけはないでしょうが、何か絵になる特別なことがあるに違いありません。
「ここがモンラッシェの畑ですよ」といわれて、キョトンです。何もありません。見渡すかぎり畑だけ。うーん、と頭を抱えてしまいました。まるで絵になりませんね、あれでは。
「それでは、モンラッシェの畑でシャサーニュ・モンラッシェ村とピュリニー・モンラッシェ村にまたがっている所を見せて下さい」と頼むと、「エッ」と彼は固まっていました。