ワイン 百一話
ジュヴレイ・シャンベルタン/アルマン・ルソー 3(Part 3)
さて、アルマン・ルソーを含めた各醸造所は、この辺りの高級な畑からは数キロ離れています。考えるまでもなく、上等のブドウを栽培できる場所に醸造所を立てるはずもありません。
というところで、アルマン・ルソー社の前の畑のように、醸造所と道路ひとつだけ隔たっているような畑からは、通常、平凡なワイン用のブドウしかできません。 |
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アルマン・ルソーの熟成庫でオーナー一族の女性醸造家 |
今年はとてもよい年になったと嬉しい話を聞きながら醸造所に入りました。やはり小さなメーカーだなと感じましたが、年間生産量は65,000本ですから、前回お話ししたコント・ラフォンと同じくらいの規模ではあります。ちなみに、ブルゴーニュには小さい造り手が多いといいましても、当然のことで例外もあります。たとえば、ルイ・ラトゥール社ですと年間生産量は実に600万本と、ボルドーの一級格付けワイン、シャトー・マルゴーの40万本を遙かに超えるのです。
写真はルソーの女性醸造家ですが、手に持っているものはピペットです。このピペットを樽の中に差し込んで、熟成中のワインをグラス3杯分くらい取り出します。人差し指の動きが私の興味を引きました。というのは、ピペットを差し込むと同時に、人差し指を軽くポンポンポンと叩くのです。何のお呪いかと思いましたら、指で叩くことで、ピペットのどのあたりまでワインを吸い込んだのかが分かるのだとかでした。あまりにも当たり前のことを尋ねてしまった私は、何も聞かないで、あれは何かのお呪いだと思っていた方が幸せだったと、勝手に後悔していました。
テイスティングは新酒を中心に行いましたが、いずれも最高水準の出来映えでした。もちろん一年前のシャンベルタンも出して下さいました。それは、もう、アルマン・ルソーそのものでした。