ワイン 百一話
ジュヴレイ・シャンベルタン/アルマン・ルソー 2(Part 2)
さて、門のそばで作業をしていたおじさんは、今日は日本人が来ると聞いていたに違いありません。私はいつも、眼鏡にネクタイ、そして胸には写真機と典型的な日本人のパターンです。昔と違うのは、アナログ写真機がデジタルカメラになったことでしょうか。
空は快晴。整然と並ぶ畝。なるほど、これがジュヴレイ・シャンベルタンの畑かと、幸せいっぱいの気分で見ていました。 |
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並級クラスの畑です |
「ミスター・ウメダ。そこは、ウチの畑ではありませんよ」
後ろから女性の声で英語が聞こえたので驚きました。振り返ると、黒い薄手のセーターにブルーのジーンズをはいた、見るからに気さくな感じの女性が立っていました。手にはグラスが二つ。実に用意のいい人です。アルマン・ルソーを訪問したいという私の手紙に、返事をくださった女性醸造家に違いありません。たしか、ルソー家の一員です。
「ボンジュール。フランス語でお願いします」といいながら握手。
彼女は「そこの畑からは、いいものは出来ません。並のブルゴーニュワイン用です。」と続けました。幸せいっぱいで見ていましたが・・・なるほど、やはりそうか、というところです
最高級のワインが出来る畑は、<ここからシャンベルタンが始まります>と書かれてあるような、なだらかな丘に広々としてブドウ畑がある、そのど真ん中なのです。
ちょうど良い機会ですから、昨日の畑の写真をもう一度ご覧下さい。昨日の写真を撮った私が立っている場所は、シャンベルタン(特級畑)とラトリシエール・シャンベルタン(特級畑)との境界線上です。背中側がラトリシエールです。方角でいうと、ほぼ北を見ています。シャンベルタンの畑に向かってさらに北にはシャンベルタン・クロ・ド・ベーズ(特級畑)があります。これらの特級畑の向かって左手の奥は一級畑であり、さらに左に行くと並の畑となり、もっと、左になるともうブドウ畑はなくなだらかな丘がベレー帽をかぶっているようなイメージとなる、防風林が見られます。シャンベルタンの向かって右は写真には写っていませんが、シャルム・シャンベルタンとよばれる特級畑です。シャルムのさらに右はやはり一級畑であり、もっと右になるとまたまた並級になるのです。