ワイン 百一話
コント・ラフォン(Part 1)
ワインのミシュランに相当する書物で定評あるものを見ると、コード・ドールのムルソー村にある「コント・ラフォン」と呼ばれるワイナリーが必ず出てきます。そしてそこには、3つの星がつけられているのです。
実は、私は・・・、などと切り出しますと、何かヘマやったのだろうと思われてしまいますが、それに近い話があります。 |
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コント・ラフォンのぶどう畑 |
あるとき、ワインには特にうるさいと自認する友人に「美味しいワインがあるので、一緒に《味わって》みましょう」といわれました。そして、目の前に置かれたグラスに、とても美しい黄金色に近い白ワインが注がれたのです。他の人たちは、これは美しいとか、何ともいえないよい香りとか、それぞれにワインを愛でておられました。
当時、筆者はまだワインをよく知りませんでしたので、学生のコンパなみに一気飲み(ではなかった、一口飲み)でゴックン。
「あっ、ホント、美味しい」私はとても感激しました。ワインって美味しいんだ・・・。途端に、「え〜っ!、もう飲んじゃったんですか、《味わって》といったでしょう!」。
酒くらい好きなように飲ませてよとか、うるせ〜、といいたいところですが、周りが非難の目で見ていましたので、ひたすら小さくなって静かにしていました。私は自らの味覚は相当発達していると自覚している方ですし、とくにフランス留学中に美味しいものをたくさんいただいています。ですから、味も分からないで、などといわれては、本来ならば黙っていられるはずはないのですが、"空気を読みました"(汗)…。
で、その時に飲んだ白ワインがコント・ラフォンでした。後から、値段は兎も角として、なかなか手に入らないワインだときかされました。
以来、しばらく、コント・ラフォンのワインは鬼門と見なして避けていました。とはいえ、何といっても3つ星ですから、気がついた時には、お気に入りの1本になっていたという訳です。
その、「私の"仲良しの"コント・ラフォン」とは、どのようなところで造られているのだろうかと、興味を持ちました。