ワイン 百一話
シャブリというワイン(Part 3)
シャブリという名前のワインは、フランスはブルゴーニュ地方のシャブリ地区でできる白ワインのみを指したものです。使われるブドウ品種はシャルドネです。
ところで、ワインには格付けというものがあり、シャブリは下から、プチ・シャブリと呼ばれるカジュアルなワイン、単にシャブリと呼ばれる並の製品、高品質のシャブリ・プルミエ・クリュ(=一級ワイン)と続き、最高級のものをシャブリ・グラン・クリュ(=特級ワイン)と呼びます。 |
||
モンマルトルの丘にある画家の広場です。オープンエアのビストロで味わう生かきとシャブリは・・・もう、たまりません。 |
それならば、これからはシャブリ・グラン・クリュだけを飲もう、そう思う人がいるかもしれません。別に構いませんが、いかがでしょうか。清酒を飲むときに、来る日も来る日も高級料理と大吟醸ではつらいところがあります。
『♪肴は炙ったイカでいい (八代亜紀さんの船唄)♪』気分のときには、並の酒でも旨いものです。レモンの利いた生ガキには、並級のシャブリがよく合います。なにごとも、TPOです。
ところで、フランス地図を開いて驚くことは、シャブリがロワール渓谷のワイン生産地よりも北にあることです。ロワールには、サンセールと呼ばれる酸味の強いワインがありますが、シャブリはこのサンセールの北東およそ九〇キロのところに位置します。
さて、ワインというものは農作物です。したがつて、北にゆくほど、太陽の恵みが少なくなることから、ワインの酸味が強くなります。なるほど、それではシャブリは大層酸っぱいワインに違いない。そのように考えることができた人は正統です。しかし、シャブリを口にすると、その酸味はサンセールよりも弱く感じられます。
実は、シャブリはアメリカに輸出するようになってから、酸っぱいワインを好まないアメリカ人の趣向に合わせて、酸度を弱くしたのだききました。
<ワインも農作物ですから、売れないと農耕トラクターのローンが払えません>。わたしはしばしばワイン・スクールの生徒さん達にそのようにお話します。