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現役ソムリエのコラム


ソムリエ と SAKE Part 1

2010/01/15 田辺公一

「海外からのゲストに対して日本酒の造り方を英語もしくはフランス語で説明して下さい。」これは2007年に日本で行われたソムリエコンクールの決勝戦における最後の課題でした。世間一般で言う「ソムリエ」のイメージは「ワインサービスの専門家」であり、ワインを扱うのが生業とされている職業だと認識されているだけに、
「他の飲み物のことを聞いては、だめなのではないか」とか
「ソムリエが飲み物を聞きに来たらワインを頼まなければ」などとお考えになられるゲストの方がまだまだ多く見受けられるように、私はホテルや街場のレストランで働いていて思います。確かにソムリエとして最も得意とし磨かなければならないのはワインの知識であり、サービスであると思います。それはレストランにおいて、ワインはさまざまな食事に合わせられ、さまざまな場所で楽しまれ、美味しく飲むのにはそれなりの知識を必要とし、多くの国々で飲まれているなどといったことからそう考えられています。では、ワインだけを知っていればいいのか?と言われるともちろんそうではありません。というのもソムリエはあくまでもサービスマンの1人であるため、ゲストに対して良いサービスを提供するため、レストラン内におけるあらゆることを理解しているに越したことはありません。その中でも飲料サービスのスペシャリストとしてあらゆる要望にお答えできるというのが良いソムリエと言われるための一つの要因ではないでしょうか。
少し前置きが長くなりましたが、私達「日本のソムリエ」がまず知っておかなければならないワイン以外の飲み物として重要なのが、自国のお酒である日本酒と焼酎です。最近では、日本ソムリエ協会の教本にも掲載され(おそらく2006年頃からだったと思います)、ソムリエ試験やコンクールでは、日本酒、焼酎、泡盛などもブラインドティスティングのアイテムとして出題される等、改めて自国のお酒への理解も求められるようになってきています。世界のソムリエ達に共通していえるのは、自国のお酒、文化を深く愛し、誇りに思っていることです。彼ら、彼女らは皆、自信を持って自国のお酒について世界中の人々に語ることができます。我々日本のソムリエは、はたしてどうなのでしょうか?

国際化がますます進んでいくなかで、ソムリエはレストランの枠のみにでなく、世界のさまざまな場所に出ていった際に、自国の酒や食文化を自信をもって語り、広めることができる文化人の1人としての役割も担っていくことが、今まさに求められてきていると言えるのではないでしょうか。

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コラム作者:プロフィール

田辺公一
日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
2005年 ロワールワインソムリエコンクールファイナリスト
2007年 キュヴェルイーズポメリーソムリエコンテスト優勝
神戸北野クラブ、ザ・リッツカールトン東京等、
ホテル、レストランでソムリエを務める
現在 恵比寿のワインスクール レコール デュ ヴァン講師


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